「紅運の最初の結婚式、私、本当はお呼ばれしたかったんだよね」 「よく仰ってますよね、それ」 「こっそり見に行ったけど」 「見に来てたのかよ」 「友人代表挨拶? ってやつしてみたかった。親友だし」 「来儀には無理だろ」 「それで呼ばなかったんですか?」 「その時は覚えてなかったわけ。知ってて言ったよな?」 「言い訳ですか」 「事実だけど!?」 無窮の庭にある屋敷の一室で、そんな会話が繰り広げられていた。 「そうだ紅運。今から奥さん欲しくない?」 「まさか来儀の口から、そんなことを聞く日が来るとは思わなかったぜ……」 「あなたのせいですね」 「美友ちゃん俺に当たり強くない?」 「嫌いですので」 「俺は美友ちゃんのそういうとこ好きだけどなぁ」 「え? 美友さんと結婚するの?」 「しません」 「しない」 2025/08/02
お題はX企画『文披31題』よりお借りしました。